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著作紹介

伊泉 龍一の著作紹介

完全マスター タロット占術大全

『完全マスター タロット占術大全』
『完全マスター タロット占術大全』

伊泉龍一(著) 説話社
¥4,950(税込)


入門から上級者までタロット占いの様々な実践的メソッドを網羅。
タロットとカバラ、数秘術、占星術との関係に至るまでタロットの様々な解釈理論についても紹介。


【目次】

はじめに
一章 入門篇

1・タロットに関する予備知識
■タロット・カードってなに? 
■タロット・カードの起源 
■タロット・カードに関する誤解 
■占いのなかでタロットを生かしていくこと 
■タロット・カードってたくさんあるけど、どれがいいの?
コラム1-1アルカナの由来 
コラム1-2タロットの古代エジプト起源説について 
コラム1-3「トランプ」という用語について 
コラム1-4タロットとトランプどちらが先? 
コラム1-5タロットはゲームのために発明された? 
コラム1-6タロットと魔術
2・タロット占いをはじめる前に
■タロット占いに「聖なる力」を与えるために 
■タロット占いをおこなうために必要なもの 
■儀式について 
■タロット・パックを入手したらまずすべきこと 
■タロット・カードの浄化


二章 初級篇

1・すぐできるタロット占い
■偶然には意味がある? 
■タロット占いの手順 
■心の準備 
■質問を決める 
■シャッフルとカット 
■ドロー 
■スプレッド 
■ワン-カード・リーディング 
■ヴォイス・イン・ザ・カード 
コラム2-1シンクロニシティについて 
コラム2-2タロットに尋ねる質問の形式について
2・タロットのイメージの世界と親しむために
デイリー・フォーカス・カード 
■タロット・ジャーナリング 
■自由連想


三章  中級篇(1)

1・基本事項の確認
■タロット・パック全体の構成 
■最もスタンダードなウェイト-スミス・パック 
■リバーサルを使うか使わないか 
■リバーサルの意味は、あえて覚えなくていい
コラム3-1リバーサルの解釈の方法

2・占いに出たときの大アルカナの意味

3・占いに出たときの小アルカナの意味

4・スプレッドを学ぶ
■シグニフィケイター 
■トラディショナル・スプレッドとノントラディショナル・スプレッド 
■スリー・カード・メソッド 
■ウェイトのケルティック・メソッド 
■ホロスコープ・メソッド 
■エドモンのホロスコープ・メソッド 
■エテイヤのホース・シュースプレッド 
■ケルティック・メソッドを応用したスプレッド(1) 
■ケルティック・メソッドを応用したスプレッド(2) クロス・オブ・アウェアネス・レイアウト 
■ケルティック・メソッドを応用したスプレッド(3) 大アルカナ・スプレッド 
■ケルティック・メソッドを応用したスプレッド(4) マイクロ・クロス・レイアウト 
■ホロスコープ・メソッド+ケルティック・メソッド 
■リレイションシップ・スプレッド 
■セブン・ソウル・センターズ・リーディング 
■トリニティ・スプレッド 
■スプレッドのカスタマイズ

5・オリジナル・スプレッドをデザインする
■オリジナル・スプレッドをデザインするための要素 
■質問、もしくはトピックの領域 
■レイアウトするカードの枚数、及びカードの空間的配置 
■各カードのポジションの意味 
■カードをレイアウトする順序
コラム3-2質問者の星座に基づくシグニフィケイターの選択 
コラム3-3カード・コンビネーションズについて 
コラム3-4 タロットは未来を予言するためのものではない?


四章  中級篇(2)

1・小アルカナの解釈論の展開
■本によってタロット・カードの占い上の意味が違うのはどうして? 
■タロット・カードには、もともと占いに出たときの意味なんてものはなかった 
■マイナーな小アルカナの地位 
■小アルカナの起源 
■小アルカナの絵の起源 
■小アルカナの解釈はどのようにおこなわれてきたか? 
■ウェイト・スミス-パックの小アルカナの持つ両面価値 

2・スートの解釈論
■古典的なスートの意味 
■スートと四元素 
■スートと様々なエレメントとの間のコレスポンデンス 
■スートに対するユング心理学の適用 

3・コート・カードの解釈論
コート・カードの古典的な意味 
■コート・カードの古典的解釈とその問題点 
■変貌する現代のコート・カード 
■黄金の夜明け団のコート・カード 
■人間の類型化とコート・カード 
■ユング心理学とコート・カード 
■伝統的なコート・カードを占いに使うときの問題点
コラム4‐1エテイヤからのウェイトへと伝わる小アルカナの占い上の意味 
コラム4‐2スートと四元素のコレスポンデンスのヴァリエーション 
コラム4‐3中世におけるコート・カードのランクが意味するもの


五章  上級篇

1・タロットとカバラ
■エリファス・レヴィからはじまったカバラ的タロットの解釈論 
■カバラとは? 
■生命の樹と大アルカナ 
■カバラとタロットの“真実”の関係とは? 
■生命の樹と小アルカナ
コラム5-1大アルカナとヘブライ文字、及び生命の樹のパスの対応のヴァリエーション

2・タロットとヌメロロジー
■ヌメロロジーとは? 
■ヌメロロジーを使った小アルカナの解釈論 
■ヌメロロジーを使った大アルカナの解釈論 
■タロットとヌメロロジーのこれから 
■タロット・コンステレーション
コラム5-2ゲマトリアの方法 
コラム5-3「魔法陣」と大アルカナ

3 タロットとアストロロジー
■アストロロジーとは? 
■大アルカナとアストロロジーのシンボルの対応 
■小アルカナとアストロロジーのシンボルの対応
コラム5-4大アルカナとアストロロジーの対応関係のヴァリエーション 
コラム5-5ディグニティを使ったタロット占い

4・タロット占いの新たなる可能性に向けて
■一般的なリーディングの二つのスタイル 
■新しいリーディング・スタイルの提案 
■カードの占い上の「意味」を覚えなくても占える! 
■リヴィジョン 
■フィフス・エレメンツ・メソッド
コラム5-6リーディングの際のよくある悩み

付録

1・歴史的な観点から見たタロット・パックの絵柄の変遷について
2・ウェイト-スミス・パックの大アルカナのシンボリズム研究
おわりに


『完全マスタータロット占術大全』(本文359-360頁より抜粋)

 今度は、ウェイト-スミス・パックの「愚者」のカードの細部に目を移してみましょう。まず注意を惹くのは、若者の左の手のひらの上にある白い薔薇です。
 ウェイト-スミス・パックにおいて薔薇は、他のカードでも何度か登場するモチーフです。ちなみに、現代のタロティストたちの解釈としては、「愚者」のカードに描かれている白い薔薇を、さしあたって「無垢」や「純粋さ」を象徴するものとして描いたものだと見るのが一般的となっています。
 しかしながら、実際にウェイト自身が、その白い薔薇を「無垢」や「純粋さ」を示すものと述べているわけではありません。なので、作者本人の意図として、実際にそれがいかなる意味を持たされていたかは、いまひとつはっきりしません。タロットのデザインに用いられている様々なシンボルについて項目ごとの詳細な解説がおこなわれているサンドラ・トムソン著『タロット辞典』を見ても、「それらのもともとの意図は、明らかではない」と述べられています。
 タロットを離れて一般的な西洋の伝承という観点から見てみると、薔薇はあちこちで象徴的な意味を持つ花として用いられていたことがわかります。しかしその意味には、必ずしも決まったものがあるわけではありません。むしろ、薔薇のシンボリズムは、実際に使用されている文脈に応じて、非常に多義的な広がりが見られます。
 シンボル辞典などを参照してみても、「完全性」、「充満(プレローマ)」、「完成」、「生命の神秘」、「生命の中心」、「第一原因」、「美」、「恩寵」、「幸福」など、様々な異なる意味が載っています。ただし薔薇の中でも、特に白い薔薇は、キリスト教の伝統では、「無垢」、「純粋さ」、「純潔」、「処女マリア」などを象徴するものとして使われているようです。
 一方で、ヨーロッパのオカルティズムの中で薔薇というシンボルは、十七世紀初頭のドイツに端を発する薔薇十字運動以来、頻繁に用いられる重要なモチーフともなっています。
 ロバート・V・オニールは、ウェイト-スミス・パックの「愚者」のカードの白い薔薇は、愚者が「薔薇十字の旅」をはじめることを表すために描いたものではないかと述べています。
 そもそも薔薇十字運動というのは、クリスチャン・ローゼンクロイツという人物によって書かれたとされる『名声(ファーマ)』(一六一四)、『告白(コンフェッシオ)』(一六一五)、『クリスチャン・ローゼンクロイツの化学の結婚』(一六一六)という書物の中に登場した架空の「薔薇十字団」という秘密結社が掲げるユートピア思想を基礎とし、その後、それに魅了されたヨーロッパ各地の理想主義的な人々が起こした啓蒙運動のことです。
 ウェイトは薔薇十字団に強く魅了されていました。現に彼は、薔薇十字団に関する二冊の書物を残しています。そもそも、ウェイトが所属していた黄金の夜明け団自体が、薔薇十運動の流れに位置するものです。また、黄金の夜明け団の解散後、「薔薇十字の同胞団(the Fellowship of the Rosy Cross)」という結社を自ら作っています。
 以上のことから、ウェイト-スミス・パックにたびたび登場する「薔薇」のモチーフは、薔薇十字運動を象徴させたものだとも考えられます。だとしたら、ウェイト-スミス・パックの「愚者」は、薔薇十字運動のユートピア的な到達点を目指して旅をはじめる若者を描いたものなのかもしれません。


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