ルーン占い
ルーン占いとは(1)
ルーン占い(runic divination)とは、「ルーン(runes)」と呼ばれる文字を使った占いのことです
ルーン文字は、1世紀頃からゲルマン人によって、ライティング・システムとして実際に用いられていた文字です。
今日のルーン占いでは、24のルーン文字を用いるのが一般的です。また、ひとつひとつのルーン文字の形を、それぞれ24本の小枝、あるいは24個の石(セラミックやプラスチック製のものも多い)に刻んだものなどが、道具として使われています。
占い方は、大きく分けてふたつに分かれます。
ひとつは「キャスト」する方法。つまり、小枝を放り投げて、その偶然に落ちた場所との関係で占い結果を導き出します。
もうひとつは、「スプレッド」する方法。ルーンバッグ(ルーンを刻んだ石を入れておく袋)の中から適当に石を選び、ルーンを一定の配置に並べて占い結果を導き出します。このスプレッドする方法の場合、タロットのようにルーン文字を描いたカードを使うこともあります。
より詳しくは以下、順に説明していきます。
ルーン占いの基本原理と全体の構成
■ルーン占いの基本原理
ルーン占いの基本にあるのは、占いをおこなった際、一見単なる「偶然」に出てきたように思われるルーン文字には、質問者に対してなんらかの意味を持つという考えです。
■ルーン文字の全体の構成と各文字の意味
今日、一般的に占いで用いられているルーン文字は、全部で24文字からなります。これは「エルダー・フサルク(Elder Futhark)」と呼ばれ、歴史の中で最も古いタイプのルーンの体系だと考えられています。
実際のところ、ルーン文字の数は、時代や地域によって、さまざまなヴァリエーションがあります(それについては、この後の「ルーン文字体系のヴァリエーション」のところで紹介します)。したがって、ルーン占いを行う人によっては、24文字とは異なる数のルーン体系を用いていることもあります。
以下に、その名称と、今日ルーン占いで用いられている一般的な占い上の意味を示すキーワードを列挙しておきます(注1)。
タイトルにマウスをのせると(スマホはタップすると)、ルーン文字の絵が変わります。マウスが離れると絵が固定されます。
- フェフ (Fehu)
- ウルツ (Uruz)
- トゥリザーツ (thurisaz)
- アンズーツ (ansuz)
- ライドゥホ (Raidho)
- ケナーツ (Kenaz)
- ゲボ (gebo)
- ヴンヨ (wunjo)
- ハガラーツ (hagalaz)
- ナウドゥヒーツ (naudhiz)
- イザ (isa)
- イェーラ (jera)
- エイヴァーツ (Eihwaz)
- ペルドゥロ (perdhro)
- エルハツ (elhaz)
- ソヴロ (sowulo)
- ティヴァーツ (Teiwaz)
- ベルカーナ (Berkana)
- エーヴァツ (Ehwaz)
- マナーツ (Mannaz)
- ラグーツ (Laguz)
- イングツ (Inguz)
- ダガーツ (Dagaz)
- オートゥハラ (Othala)
名称 | 占い上の意味(キーワード) | |
---|---|---|
フェフ | Fehu | 豊かさ、富裕、富、財産、投資、所有、繁栄、幸運、たなぼた(遺産のような思いがけない授かりもの)利益、もうけ、多量、収穫物、多産、豊かな実り、コルヌコピア(ギリシア神話に出てくる豊穣の角、物が豊かであることの象徴としてしばしば、花や果物を角に持った状態で描かれる) |
ウルツ | Uruz | 挑戦、試み、試練、競争、争い、不運なめぐり合い、開始、イニシエーション、試練のとき、審判、逆境 |
トゥリザーツ | thurisaz | 凶兆、分裂、妨害、突然の不運によって起こる苦痛 、支配されることへの脅威、外から反撃することの必要性、不運、転倒、不愉快 |
アンズーツ | ansuz | 北欧神話に出てくるオーディン(知識、文化、軍事をつかさどる最高神)、そのオーディンの言葉、息づかい、話し言葉と書き言葉に関連する問題点、話し言葉、コミュニケーション、神聖な口述伝承 |
ライドゥホ | Raidho | 牧草地にそって移動する、ほうぼうを旅すること、リズム、活動、行動、はずみ、視野を広げること |
ケナーツ | Kenaz | 灯されたもの、炎そのもの、火の要素、熱、温かさ、エロティックな愛、照明、学び、知識、集会、共同体 |
ゲボ | gebo | 贈り物を与え受け取ること、交換、オーディンからの贈り物を受けとること、捧げものをする必要性、犠牲をはらう |
ヴンヨ | wunjo | 純粋な至福、幸運、天上の喜び、充実感、とりわけグループや共同体に関連する事柄、幸せ、喜ばしさ |
ハガラーツ | hagalaz | 雹(ひょう)、敵対的な要素、崩壊、変化、遅れ、いっときの困難によって、計画が台無しになること |
ナウドゥヒーツ | naudhiz | 苦難、圧迫、束縛、窮屈さ、締めつけ、必然、宿命、欠乏、拘束、不安、スピリチュアルへの感化、ヒーリング、まとまっていない集団、受け入れられること、知覚、概念の変質 |
イザ | isa | 均衡、縮約、危険、堅苦しさ、冷たさ、行きづまり、罠にかけること、誘惑的な美しさ、溶解していく状態、新生活、復活、再生 |
イェーラ | jera | 収穫シーズン、成長していく経過、濃厚な密度と成熟、実り豊かな季節、盛夏、循環、夏至、祝祭 |
エイヴァーツ | Eihwaz | 移行、生と死に関する事柄、死、門、出入り口、入口、境界、墓、子宮、不死、永遠、復活 |
ペルドゥロ | perdhro | 賭け、ゲーム、遊び、楽しみ、笑い、愉快、幸福、娯楽、物語ること、もてなすこと、自己満足、文化的な営み、祝うこと、占い、宗教劇、自己認識を探求すること |
エルハツ | elhaz | 保護、防御、害悪から守られていること、保護されていること、魔術によって守られていること、護符とハーブによって身を守ること |
ソヴロ | sowulo | 始まり、源、神聖な宇宙のエネルギー、ハイヤーセルフ(高次の自我)、内なる光、スピリチュアル・パワー、啓発、指導、案内、成長と繁栄、輝き、解明 |
ティヴァーツ | Teiwaz | 闘志、戦闘、抵抗、聖戦、公平、名誉、勇敢、献身、約束、忠誠の誓い、古代の戦士、スピリチュアル的な戦士 |
ベルカーナ | Berkana | 誕生、新たな始まり、新たな計画、生殖能力、多産、再生産、繁殖、妊娠、浄化、古いものを排除する |
エーヴァツ | Ehwaz | 可動性、旅行、舞台の変化、一回性、あるいは周期的な旅、パートナーシップ、連携して働く、限界 |
マナーツ | Mannaz | 人間性としての資質、特性、才能、力、人類の潜在能力と与えられた能力、霊感、創造性、思いやり、愛 |
ラグーツ | Laguz | 水辺に沿った旅、海外への旅、内省的な旅、自分自身の内面、形而上の自己洞察、メタフィジカルな自己洞察 |
イングツ | Inguz | セクシュアリティ、性別、生殖能力、家系、祖先、生命力、性的なエネルギー、生命の流れ、受胎能力、身体認識、性欲をかきたてる大胆さ |
ダガーツ | Dagaz | 一日、太陽の光線、光の世界、神からのメッセージ、祝福のことば、啓発、神の光、洞察力、至高体験、時の流れ、過渡期、再生のダンス |
オートゥハラ | Othala | 家、財産、相続した土地、帰郷、故郷に対する感覚、満足、豊富、豊作、人生のめぐり合わせ |
注1 | ここでの占い上の意味はPaul Rhys Mountfort, Nordic Runes: Understanding, Casting, and Interpreting the Ancient Viking Oracle, Destiny Books, 2003を参照しました。 |