タロット占い
タロット占い講座(6)
- 第1回:タロット占いをはじめる前に(1)
- 第2回:タロット占いをはじめる前に(2)
- 第3回:タロット占いをはじめる前に(3)
- 第4回:タロット占いをはじめる前に(4)
- 第5回:タロット占いの手順と方法
- 第6回:タロット・リーディングの方法(1)
第6回:タロット・リーディングの方法(1)
前回の「タロット占い無料講座」では、タロットカードをスプレッドするまでの手順と方法を解説しました。
第6回となる今回の「タロット占い無料講座」では、スプレッドした後のタロットカードから、どのようにリーディングしていくかについて説明していきます。
■タロット・リーディングのスタイルについて
質問に対して、タロットカードが出てきたら、いよいよリーディングの段階に入ります。
ここではまずタロット・リーディングの方法論についてお話をしておきます。
タロット・リーディングは、そのやり方を大別すると次のような3つのタイプになります。
1.タロットカードの一枚一枚の意味を手掛かりにして質問の答えを見つける
2.タロットカードの絵を見て、閃いたこと、浮かんできたことを基に答えを見つける
3.タロットカードの絵で質問者の状況をイメージ化する
以下に、一つ目のやり方から順に簡単に解説していきます。
■タロットカードの一枚一枚の意味を手掛かりにして質問の答えを見つける
伝統的なタロット・リーディングの方法として一般的に広まっているものの一つが、タロットカードの占い上の意味を覚え、そこからの連想で質問の答えを見つけていくというものです。この方法は多くのタロット占いを解説した一般的な本の中で、広く説かれているものです。
タロットカードの占い上の意味は、たいがいどのタロット占いの本を見ても、キーワードとして載っています。このタロット・リーディングの方法を行うためには、最初はそれらを参照しながら質問者に対してカードが意味していることを推測していきます。慣れて来ると、タロット占いの本などを見なくても、自然と出来るようになっていくでしょう。
また、このタロット・リーディングの方法の場合、占い師の側から見て、タロットカードが出たときの「方向」が逆になった場合、一般的に「リバース」、あるいは日本語では「逆位置」と呼ばれ、通常の向きで出たときとは異なる意味、あるいはネガティヴな意味として解釈されるとも言われています。
たとえば、上のように「戦車」のカードが、通常の向きで出た場合と、逆位置で出た場合には、次のような意味となるようです(注5)。
通常の向きで出た場合の 「戦車」のカードの意味 |
逆位置で出た場合の 「戦車」のカードの意味 |
凱旋、勝利、困難の克服 | 転覆、最後の瞬間に障害によって打ち負かされる |
このタイプのタロット・リーディングは、「ウェイト版」のように小アルカナが具象的な絵になっている場合には比較的簡単です。なぜなら、以下のようにその絵と占い上の意味を見比べて見るとわかりますが、実際の絵に描かれている光景がその意味を覚える手がかりとなるからです(注6)。
カップの2の占い上の意味 | 剣の9の占い上の意味 |
重要な意味を持つことになる人間関係 | 夜に目が覚めてしまう程の悲しみや心痛 ショッキングなニュースや長年の苦悩 |
一方で、「マルセイユ版」をはじめ、歴史的に「ウェイト版」よりも古い時代に作られたタロットカードの小アルカナは、基本的にすべて次のような抽象的なデザインとなっています。この場合、絵が占い上の意味を覚える手がかりとならないため、それぞれのカードに割り当てられた意味を覚えていくのは、丸暗記をしていかなければならないため結構大変です。したがって、タロットカードに割り当てられた占い上の意味を手掛かりにタロット・リーディングを行う人の多くは、通常は「ウェイト版」以降に作られるようになった小アルカナが具象的な絵になっているタイプのタロットカードを一般的に使っているようです。
さらにここで注意していただきたいのは、「マルセイユ版」のようなタイプの古い時代のタロットカードの場合、上の「棒の7」、「剣の5」を見ても分かるように、上下のないデザイン、言い換えるならどちら向きに見てもまったく同じデザインのタロットカードとなっているのです。ですから、「マルセイユ版」の小アルカナには、「逆位置」というルールは、そのカードのデザイン上、用いることができないのです。
では、次に「逆位置」という考えを用いないタロット・リーディングの別の方法を紹介していきます。
■タロットカードの絵を見て、閃いたこと、浮かんできたことを基に答えを見つける
二つ目のタロット・リーディングの方法は非常にシンプルです。ただタロットカードの絵をじっと見つめ、そこで閃いたことや浮かんできたことを基に答えを見つけるというやり方です。
「ヴォイス・イン・ザ・カード(voice in the card)」とも呼ばれるこのタロット・リーディングの方法に、一切の理屈はありません。あくまでタロットカードの絵からの純粋な連想に委ねられます(注7)。
それぞれのカードに割り当てられた「意味」でなく、「絵」自体に注目するわけですから、この方法の場合、「逆位置」というルールは必要なくなります。なぜなら、タロットカードの絵そのものは、向きがどちらであっても同じです。ですから、通常、このタイプのタロット・リーディングを行うタロット占い師によっては、その占って出たタロットカードが「逆位置」であっても、その「絵」を見やすいように向きを直した形で手に持って、じっと見つめる人もいます。
また、このタイプのタロット・リーディングの場合、タロット占い師の答えは、一般的にタロット占いの本に書かれている占い上の意味とは、まったく異なるものとなることも珍しくはありません。
さらに言えば、このタイプのタロット・リーディングの場合、「ウェイト版」の小アルカナのような具象的な絵になっているタロットカードが好まれます。なぜなら、「ウェイト版」のようなタイプのタロットカードの小アルカナは、その絵から何かを連想させるのに適しています。けれども、「マルセイユ版」のような古い時代のタロットカードの小アルカナの場合は、「棒が3本」、「金貨が5個」といったように抽象的なデザインとなっているため、その絵自体から何かを連想するといったことは基本的に困難です。
とにかくこのタイプのタロット・リーディングは、タロットカードを見て、そこから浮かんできたことが答えになるというやり方ですから、タロットカードの意味を覚える必要はまったくありませんし、すぐに誰でも試してみることができます。
また、このタイプのタロット・リーディングを行う人によっては、タロットカードの意味を覚えてしまうとむしろ純粋な連想の妨げになるから、タロットカードの意味は覚えない方が良いという人もいるようです。
では、次に最後の三つ目のタロット・リーディングの方法を紹介します。
■タロットカードの絵で質問者の状況をイメージ化する
三つ目のタロット・リーディングの方法は、二つ目の方法と同じく、それぞれのタロットカードに割り当てられた占い上の「意味」を前提とせずに、リーディングを行います。
とはいえ、二つ目のタロット・リーディングの方法のように、「絵」から閃いたことや自由に連想されるものを頼りにするのでもなく、質問者の状況を「絵」のイメージに重ね合わせてイメージ化していきます。
たとえば、「神の家(塔)」のカードが出たら、その質問者の状況を「神の家(塔)」のカードの絵のイメージとして想像していきます。ここで「神の家(塔)」のカードの絵を見てください。
絵に描かれているのは、天から降って来た炎のようなものによって、建物が打ち砕かれ、崩れていっている絵です。すなわち、質問者の状況が、その絵のイメージの「ようだ」、あるいは「みたいだ」と想像してみるのです。
このタロット・リーディングの方法のコツは、絵全体として、どのような物語が描かれているのかを想像してみるところにあります。そして質問者の状況をその物語に重ね合わせてイメージしていきます。
たとえば、「運命の車輪」というタイトルのカードを見てみましょう。
この絵に描かれているのは、奇妙な生き物たちが車輪の回転によって、上に行ったり下に行ったりする様子です。すなわち、人の「運命」というのは、この奇妙な生き物たちのように、その回転によって上ったり下がったり変転していくものだというのが、このカードに描かれている寓意です。後は、それを質問者の状況に重ね合わせて想像してみるのです。そうすると、質問者の置かれている状況は、本人の意図とは関係なく、あたかも「運命の車輪」が回転するかのごとく、変化していくことを示しているのではないかと想像できます。
もちろん、この程度のことは、このタイプのタロット・リーディングのほんの入り口でしかありません。このタロット・リーディングの方法の最初のステップであるタロットカードの絵に質問者の状況を重ね合わせていくことができれば、次にタロット占い師はあたかも夢の世界の中に入っていくかのように、そのカードの絵のイメージの中へと入っていく段階へと進んで行きます。そしてカードの絵が示すイマジネーションの世界の中に没入していくことで、そこに包み込まれた質問者の状況が自然とありありと浮かび上がって来るようになります。これが実際にできるようになると、タロット占いのイメージの世界の驚くべき面白さを体験することとなります。
このタイプのタロット・リーディングを行うためには、「リヴィジョン」や「イメジャライズ」といったこのメソッドの基本となるコンセプトをまずは理解していかなければなりません。ここでそれをすべて説明するとなると、非常に長くなってしまい、はじめての人のためのタロット占い講座ではなくなってしまいますので、ひとまず解説はここまでにしておきます。
ちなみに、このタイプのタロット・リーディングも、やはり具体的な絵の描かれているカードには向いていますが、「マルセイユ版」の小アルカナのような抽象的なデザインのタロットカードには向いていません。
では、「マルセイユ版」のような古い時代の小アルカナをタロット・リーディングに用いるのにはどうすればよいのでしょうか?
それについては次回の「タロット占い無料講座」で改めて説明していきます。
注5 | ここでのカードの意味はMacGregor S. L. Mathers, The Tarot: A Short Treatise on Reading Cards (Samuel Weiser Inc., 1993, Original Edn., 1887)から抜粋しました。 |
注6 | 以下のカードの意味はRachel Pollack, Tarot Wisdom: Spiritual Teachingss and Deeper Meanings(Llewellyn Publications, 2008), pp. 321, 351から抜粋しました。 |
注7 | ヴォイス・イン・ザ・カードについて詳しくは、Ruth Ann Amberstone & Wald Amberstone, Tarot Tips: 78 Practical Techiniques to Enhance Your Tarot Reading (Llwellyn Publications, 2004), pp. 100-101. または伊泉龍一著『完全マスター タロット占術大全』(説話社)67-69頁。 |